投資戦略  システムトレードとの出会い



 ■システムトレードとの出会い

 私とシステムトレードの出会いは大学生の頃だったと思います。
 ある番組で金融工学とコンピューターを駆使して莫大な利益を得ているヘッジファンド
 特集をしていました。これにはかなりの衝撃を受けました。
 その頃は株にも興味があったけど、学生でお金もなく、どうやって取引するのかも分かって
 いませんでしたから、いつかやってみたいなぁとただ思うだけでした。

 ■株を始めた頃

 それから数年後、社会人になって株を始めました。
 株を始めた頃はチャート系の本をたくさん読んでました。学生の頃に見たテレビ番組の影響が
 あったんだと思います。RSIなどの指標を見て、この株は下げ過ぎだとちょっとしたテクニカル
 アナリスト気分でいました。今考えると馬鹿ですけどw

 ■バリュー投資との出会い

 そんな感じで勝てる訳もなく、株関係のいろんな本を読み、バリュー投資に出会いました。
 そして思ったのが、バリュー投資とテクニカル分析を組み合わせれば、儲かるんじゃないかと。
 この考えも失敗に終わりました。2005年までの上昇相場ではかなりの威力を発揮してそこそこ
 利益も出たのですが、2006年以降はバリューで見てもテクニカルで見ても安い銘柄が底なし
 沼のごとく、下げていくのです。これには参りました。

 「割安」の基準はその時の相場状況によって異なるということを思い知らされました。2005年の頃は
 市場は効率的で、外資の買収ファンドに狙われるような銘柄はなくなるんじゃないかと思えた程です。
 ところが、2008年に入ってどうでしょう。PBRが1倍以下の会社って半分ぐらいあるんじゃないでしょうか。
 配当利回りが3%以上なんてゴロゴロあります。

 ■バリュー投資の弱点

 企業価値が150万円だとして、実際の株価が100万円だったとします。しかも、配当利回りが3%以上
 あったとします。この銘柄を買う時の心境ってこうだと思います。今の株価が見直されれば、最低でも
 50万円の利益は出るなぁ。少々下がっても3%も利回りがあるし、寝かせとけばいいや、みたいな。
 しかし、実際の相場では株価が50万円まで下がったとします。それでも平常心を保てますか?

 今の株価で買っておけば、配当利回りは6%。しかも、めちゃくちゃ割安じゃないか。買った時の
 配当利回りじゃ、あと何年で取り戻せるんだ。高値で掴んでしまったと後悔するでしょう。
 そういう心境になった場合、たいていの人は早く売りたいと思うでしょうね。その後、株価が100万円まで
 戻ったら、その人はすぐに売ってしまうか、ある程度戻ったところで損切りするかもしれません。

 何が失敗だったのか。何が足りなかったのか。

 確率だと思います。
 150万円の価値があるんだから、100万円から150万円になる確率は高いかもしれません。
 それが優良企業であればあるほど。でも、確率が高くても、150万円になるまで、どれぐらいの
 時間がかかるのか。上がるまでに下がる確率は考えなくていいのか。

 バリュー投資の弱点はそこにあると思います。万年割安株っていうのがあります。なぜ、上がらないのか。
 それは上昇するためのカタリストがないからです。買収ファンドのようなカタリストがあればいいのですが、
 いつそれが来るのか。気長に待てればいいですが、下落相場においては苦痛にしかならないと思います。

 バリュー投資は個人的には主観でする投資。裁量でする投資であると思っています。
 割安の基準って最終的には自己判断ですから。
 その対極にあるのが、システムトレードだと思います。

 ■システムトレードとはどういうものか

 システムトレードの特長は過去の統計から優位性がある取引を行うことにあります。
 どこで買うか。どこで売るか。どれぐらい保有するか。それにより、どれぐらいのリターンが得られるか。
 過去の統計から期待値を割り出し、投資を行うのです。

 では、システムトレードは完璧なのか。
 ノーベル経済学賞受賞の教授を要したヘッジファンドLTCMが破綻したように、コンピューター上の統計や
 理論値は完璧ではないのです。

 破綻したヘッジファンドの記事を読んでいると、何万年に1回しか起こらない状況でないと損をしないという
 取引を行っていた。その確率から何十倍ものレバレッジをかけて莫大な利益を得ていた。しかし、その
 システム上、何万年に1回しか起こらないような事象がたった数年後に起こってしまった。そのため、巨額の
 損失を出し、破綻してしまった。

 この記事からも分かるように、「過去はあくまで過去でしかなく、未来を予想できるものではない。」のです。
 個人投資家が行うシステムトレードですから、ヘッジファンドのような大げさなものではないかもしれませんが、
 いくら過去の統計から勝率が良くても、大損をするリスクがあるということです。

 ■ゴールは・・・
 
 バリュー投資にせよ、システムトレードにせよ、目的は「儲ける」こと。
 一部のお金持ちの道楽と違って、多くの個人投資家は資産を築くために投資をしていると思います。
 私もその中の一人にすぎません。
 いつか、配当金などのような利回りだけで生活できる日を目指して、このページの締めとさせてもらいます。